公認会計士のKENです。
私は大手BIG4監査法人からIPO支援機関、FAS系税理士法人の勤務を経て、独立しています。
当コンテンツでは、監査法人を辞めるタイミングはいつか?という論点で独立した立場の視点で考察します。
一般的な監査法人の退職時期
一般的な監査法人の退職時期としては、大きく以下にカテゴライズされます。
- 修了考査後(監査実務経験3,4年)
- インチャージ経験後ある程度期間経過後(監査実務経験7,8年)
- マネージャー昇進後(監査実務経験8年〜)
一番多いのは、インチャージ経験後のタイミングでしょう。
この時期は、監査手続きの流れを一通り経験し、公認会計士としての市場価値が一見高い?ように感じられるからです。
シニアにも昇格しており、給与も他の会計事務所系列や事業会社と比較しても高水準です。
転職する際にオファー年収も高い年収が想定できます。
加えて、多くの会計士がこの時期に転職するため、自分もそろそろ転職した方がいいのではないか?と考えだします。
監査法人の退職時期として本来の”解”
それは、やりたいことが明確になった時です。
監査法人の仕事(もっといえば、監査法人の生活)は、
監査の計画の立案から始まり、スコープを決めた上で、分析手続きを行いながら、最終的に実査、残高確認といった実証手続きを行うことです。
その過程で、適用する会計基準の検討や、経理や内部監査とのディスカッションが発生します。
また、年次が上がるにつれて、一部コンサルティング業務の経験なども積ませてもらえます。
本当にざっくりですが、こんな感じでしょう。
転職、またその先のキャリアを考えた時、監査スキルが”直接”活きるのは、事業会社、それも特に上場会社の経理部です。
なぜなら、今まで自分が行っていた監査の対応を受ける側になるからです。笑 当たり前ですね。
ただ、現実監査スキル、それ自体が活きる場というのは、実は意外と限られているんですね。
会計士の多くはその事実に、あまり気づいていません。ですから、シニアに昇格して少し経ったタイミングで、多くの人がいざ転職するとなると、事業会社の経理部にいきます。(転職者の40〜50%が事業会社経理部へ転職します。)
税務であれば、税務の知識を改めてキャッチアップする必要がありますし、
M&Aの世界に飛び込むのであれば、さらに業界自体の知識の習得が必要です。
監査以外の知識の習得を早い段階で行わなければなりません。
今は、組織内会計士が働く環境が整備されつつあり(ワークライフバランスなど)
多くの会計士が選択する事業会社の選択肢が悪いとは言いませんが、その路線はもはや自分の意思とは言い難いでしょう。
(そもそも事業会社へ行きたくて、監査の仕事に就いたわけでもありませんよね?)
”監査”という枠組みを取り払って、やりたいことが見つかった時が、監査法人を辞めるべき本来のタイミングです。
では、そのやりたいことの見つけ方について。
やりたいことの探し方①
答えは、上記にヒントがありましたが、監査法人の仕事をしていると、監査以外の監査に付随するコンサルティングに携わる機会をもらえます。
IPO監査であったり、IFRS(感応度)分析であったり、財務デューデリジェンス、株式価値算定など。
ですので、是非、監査法人で携わることのできる監査以外の仕事を大切にしましょう。
それがあなたのやりたいことの種になり、転職のきっかけになります。
やりたいことの探し方②
これは若い年次から行うべきですが、いろんな会計事務所の事業内容をきくことです。
一番いいのは、転職エージェント経由でカジュアル面談を行うことでしょう。
カジュアル面談とは、転職の意思がなくても、その事業所(BIG4税理士法人や、M&Aサービスを行っている事業所、事業再生を行っている事業所、一部上場事業会社)がどのようなサービスを行なっているかをヒアリングできる面談です。
もちろん転職の面接と比較して気軽に行うことができますし、場合によってはそのまま一次面接に臨むこともできます。
こういった機会があると、監査法人の外の環境を知ることができ、自分ができる仕事は監査だけじゃないのかな、ということに気づけます。
私も、最初税理士法人のカジュアル面談したことが転職したきっかけでした。監査の経験が”直接”活きるわけではなくても、ただ会社の財務状況を見る視点は使えるんだと腑に落とすことができました。
また改めて税務の勉強は必要だな、と強く自覚しました。
是非、転職エージェントのカジュアル面談は利用してみてください!
転職エージェントの探し方
次に簡単に転職エージェントの探し方についてお伝えしたいと思います。
転職であっても、カジュアル面談であっても、自分のキャリアビジョンが明確でないのであるならば、転職エージェントを探す際は、少なくとも以下の点は押されるようにしましょう。
- 業種、業務の網羅性(税務、M&A、国際業務、事業会社経理、CFO候補、会計コンサルなど)
- 公認会計士向け求人保有数(3,000件以上)
- レスポンスの早さ
- (できれば)報酬交渉力
特に、業務の網羅性は注意しましょう。また求人数も少なくとも3,000件はほしいところです。
※転職エージェントによっては、公認会計士向けではない求人も含めて求人数として開示している会社もあるので注意してください。
ベターなのは
※マイナビのプロモーションを含みます。
ここは、公認会計士特化型の転職エージェントで、
公認会計士向け求人保有数4,000件以上、業種、業務の種類も網羅しており、
何より大手マイナビ社のブランド、信用力で、企業とのパイプが太いです。
積極的に面談やOBとのつながり、また転職先との簡単な食事会を設定してくれるケースもありますし、
報酬交渉もかなり柔軟に行なってくれます。迷ったら、是非マイナビ会計士を利用してみてください。
マネージャー昇格した後に退職する時の注意点
マネージャー昇格した後に、退職、転職する時には注意が必要です。
監査の一連の流れを理解すると、次に任されるのは、パートナーレビュー、品質管理レビュー対応、チーム管理業務、さらには個別調書の作成までも行います。
年収は1,000万は超えてきますが、このような常に繁忙状態にあると、監査法人の仕事を継続するのは大変なことでしょう。
年齢も30代半ばまでに達し、転職市場における枠もかなり狭くなってしまいます。
その先の働き方については、早めに考える必要があります。転職の検討も早めに行う必要があります。
一方で早期(入所1,2年)で退職・転職する時の注意点
年齢も影響しますが、例えば、25歳で合格し、27歳で転職したら、転職市場では引くて数多です。
上述した通り、公認会計士の転職市場で監査の実務経験はそこまで求められていません。
それ以上にやりたいことが明確で、早く監査法人を飛び出したい動機があるなら、そちらを高く評価されるでしょう。
実際、私もFAS、戦略コンサル、企業再生コンサル、IPO支援機関など多くの会社から内定を頂きました。私は23歳で2次試験に合格し、転職したのが25歳です。(2年間の実務要件は達成済み)
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