公認会計士・税理士・キャリアコンサルタントのKENです。
当ページでは、公認会計士がM&Aアドバイザリー会社に転職した場合の仕事内容や年収、ワークライフバランスまたどうやって転職するか?などについてお話しします。
公認会計士が監査法人で経験を積んだ次のステップとしてM&Aアドバイザリーは人気の転職先ですね。
監査法人で学ぶ知識・経験が、M&Aプロセスをリスクなく経るために必要となる知識・スキルに通ずる部分が多く、また難易度の高い業務にチャレンジできること、高報酬を得られることから、人気の高い仕事となっています。
M&A会計・税務の業務内容については、その専門性の高さから、
ネット上で検索してもあまりリアルな情報が検索できません。
是非当ページて、公認会計士が携わるM&A業務について理解を深めていただければと思います。
公認会計士が携わることのできるM&Aアドバイザー業務
この項では、公認会計士が携わることのできるM&A業務についてみていきます。
(「どうやって転職するか?」についての情報は下記にございますので、すでにM&A業務について把握されている方は、この項は読み飛ばして頂ければと思います。)
ご認識の通りかと思いますが、M&Aが実現するまでのプロセスにはいくつものステップがあります。
コンプライアンス業務ではない以上、定められた手続きはありませんが、プロセス概要はこのようになっています。
このうち、監査法人で仕事をした公認会計士が携わる業務の多くは、
- 「基礎情報の分析(バリュエーション)」
- 「デューデリジェンス」
- 「PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション:M&A後の統合手続)」
上記の三つですね。
※会社が提供するサービスの種類・規模によって、PMIは加わったり、そうでなかったりします。
基礎情報の分析(バリュエーション)
バリュエーションは、企業価値を定量的に評価することです。
基本合意(NDA)前にバリュエーションすることが一般的ですが、DDの前、またDDの後バリュエーションをやり直すことも当然あります。都度状況に応じて、Valを行います。
バリュエーションの方法は、その目的によって異なります。(継続企業を前提にする場合、清算目的の場合、IPOの場合など。)
現在、一般化されているバリュエーションの方法、種類は、
- インカムアプローチ
- マーケットアプローチ
- コストアプローチ
この三つです。
インカムアプローチは、将来の収益獲得能力をベースに価値評価する評価方法で、継続企業を前提とした評価方法かつ、最も主流の評価方法です。
個別企業の特殊な事情も考慮して評価を行うことができる一方、恣意性が加わりやすいという欠点があります。
マーケットアプローチは、客観性のとれた評価行うために、市場で形成されている株価や、他の同業他社が採用している評価方法を採用して評価する方法です。類似会社比準法などがこれにあたります。
コストアプローチは、現時点の簿価純資産額、もしくは時価純資産額をベースに評価を行う方法です。将来の収益見込みのない清算企業の評価方法に採用される評価方法ですね。こちらも客観性の高い評価が行えます。
財務デューデリジェンス
デューデリジェンスとは、買収にあたって被買収対象会社に内在するリスクを洗い出す作業です。法務や人事、ITの専門家と協業し、財務上・税務上のリスクを評価します。会社の実態調査です。
評価対象会社の資産や負債の評価額は適切かどうか、また事業計画の妥当性も確認して将来の収益獲得能力まで検証します。
特に、簿外負債の調査には、時間をかけることが多いですね。(他社の借入を保証(債務保証)している場合や、従業員の未払い残業代、退職金、また進行中の訴訟案件など)
アンレコーディッド検証については、監査法人での監査の経験が活きる場面の一つと言えます。
※上記のような「法的債務」として認められるものについては、税務上、費用・債務としての認識が客観性の取れた金額が確定した時に行われます。ですので、税法基準で財務諸表を作っている中小企業などでは、認識もれが発生している場合があります。
それらはDD上、将来のキャッシュアウトとして認識する必要性があるので、評価金額として折り込み、修正F/Sを作成します。(必ずしも、不正の温床探しだけではないですよ?参考までに!)
PMI
PMIとは、M&A後の統合手続きです。
PMIと一言でいっても、その分野は多岐に渡ります。
経営、マーケティング、人事、組織文化、そして財務、会計などです。公認会計士が担当するPMIの分野は当然のことながら財務、会計の領域です。
中小企業場合などは、必要な内部統制が設計されていないことも多く、DDで検出された事項をもとにしながら、
買収後、短期(3ヶ月〜6ヶ月)から長期(1年)にわたって内部統制の構築支援をおこなうこともします。会社の意思決定方法、決済ルートの確定から、システム導入など親会社の方針に合わせる形で、設計の仕直しを行います。
また公認会計士の腕の見せ所となる買収スキームの設計(合併、株式交換、株式移転)などもフェーズとしては、PMIのプロセスで行うことが多いです。
いわゆるPMI専属のコンサルタントとなった場合は、作業工数としては、DDやValより少ないことが多く、結果として報酬水準が下がることもあります。
M&Aアドバイザーの種類〜どんな会社に向けて何の仕事をするか〜
DD、Val、 PMIの仕事については、クライアントの規模により、1人が担当できる業務が大きく変わります。
- BIG4fas
- 国内M&Aアドバイザリー会社(大手&中堅)
- 会計事務所・税理士法人系FAS
fas業務を提供している会社、組織は大きく以上の通りに分類でき、それぞれで対象としているクライアントの規模が異なります。
監査法人と同様ですが、クライアントの規模が大きくなるほど、縦割り・分業の度合い高くなります。
BIG4fas
EY、KPMG、DTT、PWCのfas部門です。
- KPMG fas
- EY TAS
- DTFA
- PWC アドバイザリー
これらの法人のクライアントは売上規模1,000億、取引規模で10〜100億です。M&Aも大規模になり、中にはクロスボーダーも当然あります。10人〜20人、場合によってそれ以上のチームを組成して、業務に当たります。
スタッフが担当する業務は、いわゆるリスクの低い勘定科目で、職階が上がる毎にリスクの高い勘定科目になるのは監査法人と同様です。
そして、クロスボーダー案件は豊富にあるため、英語力があると法人内で重宝がられます。
国内M&Aアドバイザリー会社
以下が国内で代表されるM&Aアドバイザリー会社です。
- 日本M&Aセンター
- ストライク
- GCAサヴィアン
- フロンティア・マネジメント
日本M&Aセンターを例にとると、売上規模1億〜10億程度の小規模会社の事業承継から、上場会社(big4では扱わない準大企業レベル)のM&Aまで様々あります。
携わることの業務はVal、DD、PMIではありますが、その時々で柔軟に各フェーズの仕事をすることも多いです。「FA業務」「仲介業務」の営業と一緒にMTGに参加することもしばしばです。
M&A全体の仕事を俯瞰して把握するには、big4ではなく、国内のM&A会社の方が向いているといっていいでしょう。
独立を考えている場合、自身のサービスラインに「M&A業務」を加えるのであるならば、その全体を経験しておく必要があるのは、間違いないですね。
バックオフィス(DD、Valから)フロント(FA業務や仲介業務)にキャリアをシフトすると、完全成果報酬の世界になり、年収2,000万、3,000万・・1億といった世界が見えてきます。
↓FA、M&A仲介の詳しい説明はこちら。
会計事務所・税理士法人系fas
所長が公認会計士の会計事務所・税理士法人で、fas(M&A業務)をサービスラインとしている事務所があります。
比較的ワークライフバランスをとりながら、fas業務を経験したいという人にはこの選択肢はおすすめです。(私は、fas系税理士法人に在籍していました。)
ただ、M&Aに係る業務は、スポット業務であるため、メインのサービスである税務申告書の作成、レビューや税務相談の業務と並行して仕事するようになります。
専業でM&A業務を提供している国内M&Aアドバイザリー会社よりは積める経験としては少ないです。
M&Aアドバイザーの年収、仕事環境、ワークライフバランス&残業
M&Aアドバイザーの年収は、big4fasと国内大手、また国内中堅、会計事務所(税理士法人)で異なります。
BIG4fasの年収、仕事環境、ワークライフバランス
big4fasでは、基本的に監査法人と同じ職階構造です。ただ、ベースの年収(年俸)水準が、監査法人よりは高いです。
非常に大雑把な金額ではありますが、大体の水準を提示しました。それぞれレンジが広いのは、人によって賞与の金額に監査法人以上に、差が出てくるからです。
平均をとってみると、監査法人の各職階の年俸に+150万アップした金額レンジを想定してもらえればと思います。
※アシュアランスは、定額報酬で毎年変動なく報酬が入ってきますが、fas、M&Aの仕事はスポット業務です。景気の浮き沈みに影響を受け、その年の業績が給与にも影響を与えます。
仕事環境については、big4監査法人と比較をすると、作業時間は長く、激務です。
休日の出勤もありますし、監査法人よりさらにプロジェクト単位で密に動くようになります。並行して複数のプロジェクトが走ると残業も多く発生します。
プロジェクトと次のプロジェクトの間の時期について、休暇がとりやすいのはいわゆるコンサルティングファームの特徴ですが、監査法人と違い、いつ閑散期がくるのか読めない部分も多いため、
長く監査法人に在籍している人ですと、ワークライフバランスの面で窮屈を感じる人もいるかもしれません。
給与以上に、激務の仕事環境の中でどれだけ自身を成長させられるか、という視点で仕事ができれば充実した仕事環境が形成できるといえますし、何より
「big4fasで仕事できたから他でもやっていけるだろう」という自信にもなると思います。(次の転職でも困ることはありませんし、fasの経験は、ベンチャー、上場企業ではひっぱりだこです。笑)
また、big4fasでは、スタッフ、シニアスタッフであっても、残業代は深夜残業や休日残業といったイレギュラーのケースを除いて、残業代は支給されない裁量労働制をとっています。
監査法人も残業代の支給の仕方については見直されてきていますが、シニアスタッフが残業代を含めるとマネージャーの給料を超える、なんていうことは big4fasでは起こませんね。
国内大手&中堅アドバイザリー会社の年収、仕事環境、ワークライフバランス
日本M&Aセンターをはじめとした、大手のアドバイザリー会社の給与水準は、big4fasよりやや下回る場合もありますが、その人の実力次第です。賞与の振れ幅がbig4よりも大きくなります。
M&Aセンターをはじめとした国内のM&Aアドバイザリー会社は、フロントであるFA、仲介業務の年収が完全成果報酬です。これは、日本のM&A界のいってみれば暗黙の給与方針でもあります。
その結果として、バックオフィスに近いDDやValを担う公認会計士の部門の報酬も、定額年俸を設定しながらも、一部成果報酬のレンジをもたせるといった内容になっているようです。
いわずもがな、仕事環境はbig4fasと同様に激務ですし、組織風土は、いわゆる本当に「バリバリ」働く人が多いです。
激務に耐えながら仕事をするのが好きな人が特に集まっており、big4fasに在籍している人よりも、国内M&A会社に勤めている人はさらにその傾向が強いといえます。
会計事務所・税理士法人系fasの年収、仕事環境、ワークライフバラン
fas、M&A業務を提供している会計事務所・税理士法人は上記の2つと比較すると、年収も仕事環境も異なります。
報酬については、事務所の方針によって様々ですが、事務所としてDD、Valを請け負う量が多いと、大手M&A会社と同様、賞与に反映される場合が多いです。
ただ上述した通り、あくまでほとんどの税理士法人は、メインのサービスラインはやはり税務顧問です。
その本質は「定額報酬」ですし、どのくらいfas業務を請け負えるかは、代表のコネクション、また組織規模により様々です。
この点については、転職エージェントに詳細に確認が必要なポイントと言えるでしょう。
M&Aアドバイザリー会社にどうやって転職する??
M&Aアドバイザリー会社に応募する場合は、基本的に以下の方法のどちらになります。
- 法人のホームページより自分で応募する
- 転職エージェント経由で応募する
big4fas、国内大手M&A会社などは、法人ホームページからの応募は可能ですが、転職エージェント経由の方が断然好ましいといえます。
理由としては、色んな求人を比較検討でき、また求人について確認したいポイントがあれば、問い合わせをすることでエージェントの方で、詳細を確認してくれます。これは、かなりの時短になります。
自分で直接応募する場合には、自分でコンタクトするしかありませんが、法人との太いパイプがある転職エージェントと自分でコンタクトをとるのでは、引き出せる情報が全く異なります。
是非転職エージェントを利用して、リアルな情報を引き出しましょう。
これを10、15社と行っていくと、転職エージェントを利用していない人に比べ、圧倒的優位に立ちます。
M&Aアドバイザリー会社転職にあたって利用すべき転職エージェント
M&Aアドバイザリー会社は、分類としては「コンサルティングファーム」に属し、コンサルティングファームの中でも特殊な案件です。
転職市場には、M&A業種に特化している、転職者にとって本当に有用な転職エージェントから、全くはずれな転職エージェントまで、その種類は様々です。
私は、今まで監査法人・fas系税理士法人など計4社の会計ファームを経験してきました。その中で数多くの転職エージェントを利用してきました。(15社程度)今回、その中からおすすめできる転職エージェントについてご紹介いたします。
以下は、総比較表です。
転職エージェント総比較表サマリー
この中より、3社を厳選して紹介いたします。
圧倒的求人保有数!【マイナビ会計士】
表をご覧いただければ分かる通り、マイナビ会計士は、
求人数において、圧倒的に他社を凌いでいます。
マイナビ会計士は公認会計士の転職に唯一特化している転職エージェントで、キャリアカウンセラーも公認会計士の転職事情によく精通しています。(監査法人の退職理由や、ワークライフバランスの取り方、公認会計士が陥りがちな誤った転職思考などなど。)
そして、転職者その人の置かれた「現状把握、希望のキャリア」のヒアリングに誠心誠意努めて下さいますし、ヒアリングした上で、その人に最適なキャリアプランをオーダーメイドで考案して下さいます。
なぜマイナビ会計士が過去継続して、会計士利用率・登録率No.1、満足度も95%を超える数字を出しているか?
そのもとは、求人数もさることながら、圧倒的なカウンセリング力にあります。
公認会計士で転職を考える場合には、まず第一に登録が必要な転職エージェントになります。
※マイナビのプロモーションを含みます。
M&Aファーム・ハイクラス転職なら!【JAC Recuritment】
M&Aファームは、転職市場では、いわゆるハイクラス転職です。
そしてハイクラス転職には、ハイクラス転職に特化した転職エージェントが有用です。
JAC Recruitmentは、創業以来、高年収・ハイクラス転職に特化して支援を行っている転職エージェントで、M&Aファームは、近年その人気の高さから、多くの会計士M&A志望者が殺到しているようです。
JACを利用した感想としては、求人のリサーチ力が素晴らしいです。
求人数の多さというより、一つ一つ優良な求人を多く集め、その求人のことを求職者に適切に情報提供することで、利用者の高い満足度を維持している転職エージェントです。
またカウンセラーのレスポンスが早いことも魅力的です。長期化しがちな転職活動ですが、すぐレスポンスをもらえるJACを利用することで、随分効率的に転職活動が進められるかと思います。
JAC Recruitment報酬交渉の鬼!【ジャスネットキャリア】
ジャスネットキャリアはご存知でしょうか?
ここは、コンサルティングファームや監査法人・税理士法人などの財務・会計コンサルティングファームに特化した転職エージェントです。
ジャスネットキャリアの強みは、その報酬交渉力にあります。
実際私は、3回目の転職で、想定年収の105万アップで報酬交渉していただけました!
報酬交渉ついては、自分1人でなかなか行うことは難しいです。
是非、交渉のプロにお願いしてみてください。
厳選3社まとめ
圧倒的な求人保有数!丁寧なカウンセリングを受けたいなら・・・
⇒【マイナビ会計士公式サイト】ハイクラス転職のVIP待遇を受けたいなら・・・
JAC Recruitment報酬交渉をお願いしたいなら・・・
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